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お口の中を清潔にするのは なぜ大事なの?

2013/03/15

私たちの体には800種類以上の細菌がいると言われ、そのうち約700種類の細菌がお口の中にいるといわれています。その細菌が、痛みや腫れなどをともなう、むし歯や歯周病などを引き起こします。近年では、お口の中にいる様々な細菌が全身の健康に関わっていることが報告されています。特に歯周病が関連する病気には、糖尿病、心疾患、メタボリック症候群、早産、誤嚥(ごえん)性肺炎、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)などがあります。

お口の中にいる細菌の多くは歯垢(プラーク)の中にいます。歯垢は、歯の表面に付き、白くてネバネバしていている細菌バイオフィルムというものを形成していきます。

細菌バイオフィルムとは、どんなものでしょうか?
それは流し台の水垢と様子が似ています。水垢は、水を流しただけではきれいにならず、スポンジやたわしでこすらないとなかなか取れません。お口の中でも同様に、うがいだけでは細菌バイオフィルムは取れないので歯ブラシによる清掃(歯みがき)が必要となります。

歯みがきの大切なポイントが4つあります。
1つ目は、歯ブラシの選択です。歯ブラシはお口の大きさに合わせて選んでください。毛の硬さは歯肉の状態に合わせて、ふつう~柔らかめなものを選んでください。また、毛の材質は豚毛などではなく、衛生状態を保つためにナイロンなどの人工の毛を選択しましょう。さらに、歯間ブラシ、デンタルフロスなどの補助的清掃用具を使うと歯と歯の間の汚れも取り除くことが出来るのでより有効です。2つ目は磨く順番です。どこから磨くかではなく、磨き残しがないよう順番を決め、それが毎日の習慣になることが大切です。3つ目は、歯磨剤(歯みがきペースト)を有効に使うことです。以前は研磨剤がたくさん入っており、歯が削れるので使わないようにと言われていましたが、現在では、歯の質を強くするフッ素などの薬剤が入っており、その薬効も十分に期待できます。また、歯を傷つけずに着色などを落とせるものも出てきていますのでぜひ使ってみてください。4つ目は、ご自分のお口の中の様子を知りましょう。歯のどこに歯垢が付いているか、みがき残しがどこかなど自分のお口の中の確認をしてください。

4つのポイントを守って上手に歯みがきをしても、この歯垢は歯石となってしまうと、歯ブラシでは取り除くことはできません。そのため歯科医院での定期健診が必要となります。定期健診で歯肉の検査や歯石除去、歯みがきの確認を受けることが大切です。

「口腔(こうこう)ケア」という言葉を聞いてどのようなことを想像しますか?もちろん、歯石や歯垢を取り除いてお口の中をきれいにすることもそうですが、お口の機能改善を促すこと(リハビリ)や感染予防、緩和ケアも口腔ケアの中に含まれます。
私たち歯科衛生士は、外来受診された方だけでなく、入院している患者さまのところへも伺い、口腔ケアを行っています。意識のない方や食事をされていない方は口唇・舌・頬などを動かす筋肉や唾液腺などの機能が落ちています。そのため、飲み込みや発音がうまくいかないなどの不具合も出てきます。唾液腺の機能が低下することで、唾液による自浄作用がなくなり、食事をしている時よりもお口の中は汚れてきます。お口の中や周囲をきれいにする口腔ケア自体が筋肉などへとても良い刺激となり機能の改善を促します。その結果として、感染予防(誤嚥性肺炎)や廃用症候群(※1)の予防につながります。

お口の中は、むし歯や歯周病の治療、入れ歯の作製や調整など、普段から健康のために準備しておくことが必要となります。私たち歯科衛生士も定期健診や口腔ケアを通して皆さまのお口の中を良い状態に保つために、確立した最新知識や技術を提供していきたいと願っています。

※1体の動かしている部分を動かさないことで起こるさまざまな体の機能の低下

歯科衛生士主任 蓮池祥江

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