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医療者と患者さまの安全認識には差があった

2008/02/01

昨年の11月29日、和田ちひろ氏(いいなステーション代表、NPO法人ヘルスケア・リレーションズ代表)を講師に招き「患者参加と医療安全」と題して職員向けにご講演をいただきました。

その中で厚生労働科学研究(医療技術総合評価事業)「患者の視点からの医療安全に関する研究」の紹介がありました。調査対象は[3つの医療機関で、ある特定期間に入院していた患者及び家族]の、安全への疑問や不安に対する回答でした。

具体例を挙げると、

  1. 1 .点滴が終わってもすぐに看護師さんが来てくれないので血が逆流しそうで不安だった。
  2. 2 .点滴のチューブにたくさんの空気が入っていて、空気も針のほうへ動いている。このまま血管に空気が入ってしまっては怖いと思い、看護師さんに言ったところ「うんうん、大丈夫よ」とさっと流された。
  3. 3 .点滴(抗がん剤)中「あっ!!」という声を出す看護師や若い先生にドキドキさせられた事があった。

このように、不安・不満事象100件のうち33件は輸液ポンプ・注射への不安や対応であることがあからさまに表現されていました。そして、これらを医療者に伝えなかった理由には[諦め・遠慮]の文字がありました。他施設のデータとはいえ、当院にも類似事象は少なからずあるのだなと講演後のアンケートから伺えました。

輸液ポンプなどの医療機器は私たち医療者が管理するものという観念があり、この話を聞くまではこんなにも患者さまが不安になっていたなんて思いもよらなかったのが正直な感想です。

医師 「何かあったら遠慮なく聞いてください。」
患者 「あ、はい。」

これは医療現場でありがちな会話です。この会話の裏には次のカッコに表すような想いがこめられているはずです。しかし、言葉に表出されないと双方の想いはズレていることに気づけないままです。

医師 「(安全・安楽に安心して療養していただくために)何か(○○なこと、○○な症状が)あったら(担当の○○看護師か○○医師に)遠慮なく(何度でもいいです、何回もお話しますよ)聞いてください。」
患者 「あ、(本当に小さなことでもいいのですか?いっぱいあります、でも忙しいのに時間取らせては迷惑かな、機嫌悪くされるかも、まあいいや今度で)はい。」

医療の信頼関係に生じたズレを修復するには、互いの言語的コミュニケーション。言語的コミュニケーションを成功させるには、医療者が[思いやりのこころを失わない(忙しくない)こと・患者さまの聞く知る権利を尊重すること・目配り・気配り・会話の間…。]医療者も患者さまも自分自身が第三者になって[行き違い]に気づき、ズレの修復ができるような関係作りを心がけたいものです。

医療安全管理室 セーフティマネージャー 髙橋静子

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