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お知らせ

コロナと共に強く生きる (学校法人鉄蕉館 理事長 亀田省吾) 2021/03/01

学校法人鉄蕉館 理事長
亀田 省吾

2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の生活や経済活動、さらには人間の価値観まで変えました。学校教育にも大きな影響を与えています。

多くの大学がオンライン授業となり、昨年の新入生達はお互いに会う機会もなく、友達も作れず本当にかわいそうな状況が続いています。しかしオンライン授業で学ぶことができる分野はまだ良いほうです。看護学生をはじめとした医療系の学生にとって、座学以上に重要な学びの場は臨床実習です。特に看護学生にとって臨床実習は、看護師としての知識や技術のみならず、患者さまとのコミュニケーションやチーム医療、看護師としての倫理観や価値観を学ぶために最も大切な教育の機会でもあります。しかし、多くの病院が学生実習の受け入れを見合わせたため、校内実習室での演習を、臨床実習の単位とせざるを得ない大学や専門学校が数多くあります。

特に少子化が進む近年、医療とはまったく関係のない分野の大学が、応募者が多い看護学部を開設してきました。それらの大学は多くの場合、近隣の医療機関に臨床実習を依頼していますが、それらの実習病院は、感染予防のために厳しい面会制限を行っている状況であり、看護実習生を受け入れるはずもありません。さきごろ新聞掲載された全日本民主医療機関連合会の看護学生への調査結果によると、病院実習中止による学業への影響には61.8%が不安と回答。実習の再開見込みを示されていない学生も25%に達するとありました。※

一方、亀田医療大学、亀田医療技術専門学校は、亀田メディカルセンターを始めとした亀田グループと一体となり、助産師、看護師、介護福祉士の教育に取り組んで来ました。感染予防や感染管理については、亀田メディカルセンターの感染対策本部の指導を受け、厳格な感染予防の下、臨床実習もほぼ従来通り行われています。さらに今回のことをきっかけに、今後の感染爆発を含めた災害時にも対応できるようにと、オンライン授業などの環境整備や仕組み作りを始めました。今後とも学生たちが安心して質の高い教育を受けられるように様々な対策を構築して行こうと考えています。

また、昨年亀田医療技術専門学校に開設した介護福祉学科は、外国人学生を主体としています。本来は昨年4月に同校日本語学科に入学する予定であったベトナムからの留学生達が、コロナのせいでなかなか入国できませんでした。その間、日本語学科の教員がベトナムにいる学生たちにオンラインで日本語の授業を行っていました。11月にようやく9名の留学生のビザがおり、12月に残りの2名もビザがおりて無事に来日することができました。

今回の感染拡大でも、多くの介護施設でクラスターが発生し、そのたびに介護士の人員不足がクローズアップされました。日本の出生数は急激に減少しており、2021年度の出生数は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回った前年度の86万4千人から、一気に70万人台にまで減ると予想されています。今後2050年頃まで続く高齢者人口の増加を考えると、外国人の力を借りるしかないのが現状です。外国人の教育に関しては、オンライン授業を活用し、母国で受けられる授業を増やすことで、学生たちが精神的にも経済的にもできるだけストレスなく学べる仕組みを今後も模索して行きたいと思います。そして、アフターコロナの社会が、多様性を認め合い、全ての人々が暮らしやすい穏やかな社会になることを願っています。

2020年10月10日毎日新聞 “「コロナ世代と呼ばれる?」病院実習相次ぎ中止、悩める看護学生たち”

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