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リーダー像 (亀田クリニック院長 亀田省吾) 2020/08/25
亀田クリニック院長
亀田 省吾
新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大し、人々の生活や経済活動が大きく変わらざるを得ない中、かつてないほどリーダーの資質が問われています。各国の大統領や首相から、州知事や県知事、さらには各自治体の首長まで、立場こそ違えども、このような非常事態の時こそリーダーの役割は重要となります。
ふだんは政治などには全く興味がない人たちも、リーダーの判断ひとつで、自分たちの生活や命まで左右されるとなると真剣にならざるを得ません。またリーダーにとっても非常に難しい判断を迫られています。おそらく100点の答えはないでしょう。できるだけベターな選択をするために、有識者をはじめとした多くの英知を集め、最終的にリーダーとして決断し、責任をとるしかありません。政府を英語で言うとガバメントですが、もともとは法律で国民をしばり、統治するという意味です。しかし、現在政府に求められているガバナンスは、正に多くのステークホルダーの合意形成のもとに、方針を決めていくという考え方なのだと思います。
さて、アメリカは世界で最も豊かで先進的な国ですが、今回、世界で最も感染が拡大し、死者数も多い国となりました。その原因はいろいろあると思いますが、国を導くリーダーとしてのトランプ大統領の責任が大きいことは間違いありません。前大統領補佐官のジョン・ボルトン氏は、回顧録の中でトランプ大統領にとって興味があることは、国の繁栄ではなく、選挙に勝つことだと書いています。大統領選挙を前にして、その発言や行動は、右に左に大きくぶれることも多く、知見を疑うような場面もあり、アメリカのリーダーとしてふさわしいのか首をかしげることもあります。しかし選挙で選ばれれば大統領としての権限を有し、国民の幸せを左右することになります。
また、北朝鮮は未だに感染者は一人もいないと言っていますが、それを信じる人は誰もいないでしょう。朝鮮戦争後、社会主義国家として金日成氏が初代国家主席になりました。しかし、その後三代にわたり金一族の世襲による独裁国家として存在しています。さらに、現在の金正恩国家主席は自分に苦言を呈したり、少しでも自分を脅かす存在と疑えば、兄弟や親戚でも粛清するという現代では信じられないような恐怖政治を行っています。今回の感染症でも、多くの国民が貧困と飢えの中、まともな医療も受けられずに亡くなっているのだと思います。
トランプ大統領にしても、金正恩国家主席にしても、国家の繁栄のために全力を尽くすというリーダーの使命を忘れ、自らの地位や私欲に価値観を持ってしまっていることが最大の問題だと思います。自らの使命を懸命に果たし、国民から信頼され、尊敬され、愛されるリーダーであれば、この難しい局面でたとえ満点の答えが出せなくても、納得してもらえるに違いありません。これはどのような組織のリーダーにも通じることだと思います。
このたび医療法人鉄蕉会では、亀田総合病院長が、長年にわたり重責を果たした亀田信介から亀田俊明に交代しました。これからの時代を担うリーダーの責任は一層厳しいものになるでしょう。どうか後継者として立派に職責を果たせるよう、職員および地域の皆さまには、ご指導・ご鞭撻をお願いいたします。
(2020年7月に執筆)