お知らせ
2021年を迎えて(理事長 亀田隆明) 2021/01/04
理事長
亀田 隆明
明けましておめでとうございます。
旧年は新型コロナウイルスという未知との遭遇に振り回された一年でした。当法人は、2020年1月29日、勝浦ホテル三日月と共に武漢からのチャーター機第一便によって帰国された方々の受け入れから、24時間体制で感染症専門医や看護師による診療と観察、発症者は亀田総合病院での入院受け入れも行いました。新型コロナウイルスの病態などわからない中で、振り返っても感染症の専門医をリーダーとする亀田、三日月の職員連合は素晴らしいチームとして活動しました。しかしその時点ではまだ世界中がウイルス問題でここまで変わってしまう所までは想像できませんでした。
私たちが本当にその深刻さを思い知ったのは、4月に発令された緊急事態宣言でした。武漢からアジア、そしてヨーロッパへと感染が拡がった時、アメリカをはじめ無保険者が多い国は大変なことになることは容易に想像ができ、グローバル経済の中で何が起こるのか、日本はどのようになってゆくのか大きな不安を覚えました。
当法人の経営も、緊急事態宣言発令後、特に幕張や京橋のサテライトクリニックはドック受診者の激減や外来受診者の減少でほぼ開店休業状態に追い込まれ、本院での手術も減少、他の医療機関同様大きな減益となりました。しかし、ここで縁の下の力持ちの分野がピンチを救ってくれました。臨床検査部門は国立感染症研究所や学会などと密に連絡を取り、いち早く検査体制を整え、クラスターの発生を防ぎました。
亀田京橋クリニックでは、落ち込んだ経済の復活に海外との交流が不可欠と考え、6月から渡航者のためのPCR検査や渡航者外来の強化を図り、鎖国のような状態の中、数十余りの国々への渡航のお手伝いをしました。本院では20床以上の病床を休床にして7床のHCUをコロナ専用病床としましたが、手術数などは前年と変わらないところまで何とか回復しました。政府の補助にも助けられていますが、何よりも職員の皆様の努力と忍耐に心より感謝申し上げます。
年末には、懸案だった新棟(G棟)建設も予定通り着工いたしました。南房総唯一の基幹災害拠点病院の指定を受けている亀田総合病院において、喫緊の課題は耐震基準を満たさないD棟の解体と老朽化したE棟の整備でした。G棟は透析センターや不妊生殖センター、リハビリテーション室などの移転先として、また年々激甚化する災害時の医療体制の強化を目的として計画されました。2022年3月のG棟竣工後は、既存のE棟の全面整備とD棟の取り壊しを順次行います。また、今年から来年にかけて手術室の増設、ロボット手術の導入など、手術件数年間3万例を目指して一歩踏み出します。
昨年は、本来であればオリンピックイヤーということで華やかな一年になるはずでした。今年こそは新型コロナ感染症を克服し、輝かしい復活の年となることを祈念しております。