お知らせ
コロナ禍でも輝く人たち (亀田総合病院長 亀田俊明) 2020/11/02
亀田総合病院長
亀田 俊明
度重なる自然災害や疫病で、日本だけでなく世界全体が沈んだ雰囲気になっている中においても、勢いや輝きを失うどころか、どんどん新しいことにチャレンジしながら自分の世界を広げて活躍する人達がいます。その一人一人を見ると、見るからに行動的で勢いがありそうな人だけでなく、おとなしく控えめそうに見える人もいて多種多様です。こんな時期だからこそ見えてくる、人の意外な一面もあるなと実感しています。
この夏、今年も90人を超える応募者を対象に研修医の採用面接を行いました。面接で趣味をたずねると、「料理です」「動画配信です」「作曲です」などと返答があり、いつから始めたのか質問すると、「実は自粛中に何か新たに趣味を作ろうと思いチャレンジしてみたところです」といったような返答が相当数ありました。それとは逆に「自粛下で今は趣味ができていません」と寂しそうに答えた方もいました。もちろん後者の方も現在を楽しめていないわけではないと思いますが、どんな状況下でも楽しみや興味を探したりするのが上手な人は羨ましいと個人的には思います。
仕事においても同様で、3密を避けるために集団での会議や会食はことごとくなくなり、懇親会やワークショップなどもなくなったことで、仕事やコミュニケーションを従来通り行うことができなくなりました。しかし、これを機に大きく働き方を変えた部署、コロナ禍が収まった時に攻められるような構想を楽しそうに描いている部署、会議などが減った今だからこそこれまで手を付けられなかった執筆や論文を沢山書くことを推奨する部署、極めつけは現在の状態を利用して新たなビジネススキームを構築する部署なども出てきました。正直、今年はコロナを言い訳にすれば色々許される雰囲気がありますが、伸びていくところは外的要因に左右されてもひるむどころか、自分の仕事に対して飽くなき情熱と自信を持っているということがよくわかりました。
ここで一人ぜひ紹介したい人物がいます。亀田総合病院副院長の植田健一先生です。植田先生との出会いは5年前、私が米国アイオワ大学へ短期留学中のことでした。アイオワはアメリカ中西部に位置するのどかな土地で、キャンパスはもちろん町で日本人を見かけることは稀でした。ある時日本人医師が話しかけてくれ、まるで自分の家に来いと言わんばかりの誘い方で植田先生宅のBBQに呼んでいただいたのが始まりでした。当時、植田先生はすでに小児心臓麻酔領域で著名であるにも関わらず、全く壁を感じさせない人間的にもとても魅力的な方でした。「宝くじで一生遊んで暮らせるお金が手に入っても死ぬまで麻酔を追求したい」と言っておられたのを覚えています。2018年に当院麻酔科部長として着任されてからも、常に手術センターや病院の発展の構想を練り、実際に周麻酔期看護師の育成などさまざまな活動に精力的に取り組まれています。
この奇跡のようなアイオワでの出会いを思い出すたび、いつどこに素晴らしい出会いが待っているのかわからないと思います。現在のような状況下でも、人だけでなく経験や仕事など皆様の周りにもたくさんの素敵な出会いがきっとあるはずです。しっかり前を向いて、チャンスを逃さずにいきましょう!