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台風15号の災害を経験して (亀田総合病院長 亀田信介) 2019/11/01

亀田総合病院長
亀田 信介

9月9日未明、千葉県に上陸した台風15号により、南房総地域をはじめ千葉県の広い地域で長期間にわたる大規模停電、断水、通信障害、家屋の損壊といった、大きな被害が発生しました。これほどの大災害にもかかわらず、当初は国や県などの行政機関は今回の災害を過小評価し、9月12日の夜まで災害救助法の適応も行われませんでした。

行政の対応が遅れた最も大きな原因は通信障害による情報収集の困難さにあったと思われます。災害対応において、情報が分からないときには悪い状況を前提とする事が基本的な考え方です。結局今回は当初の混乱を脱した9月13日頃からようやく行政も事の重大さに気付き大騒ぎになりました。

このような状況の中、亀田メディカルセンターは、多少の建物被害はありましたが、特高受電設備等により停電や断水もなく、医療施設としての機能は通常通り維持され、発災直後から基幹災害拠点病院としての役割を果たすことが出来ました。一方、職員のほとんどは、被害の大きさには差があるものの被災者でもあり、困難な生活環境の中、医療者として頑張って下さいました。心より敬意を表すると共に感謝申し上げます。

今回の災害に於いて、もう一つ大きな問題がありました。それは異常気象ともいえる高い気温です。熱中症に対する注意喚起がなされる中、クーラーも扇風機も水も使えないという状況が続いた地域や施設が沢山ありました。更に発災直後の2~3日は、食料やガソリンも不足し大きな混乱が生じていました。当院は9月9日から、クーラーの効いた院内での休憩スペースや携帯電話の充電のための電源を地域の方々に開放し、停電、断水が続く介護施設や医療施設に、水や食料、衛生品、ガソリンや発電機等を提供すると共に、医療チームを派遣し、状況の把握と医療活動を行いました。

また市内の多くの宿泊施設が、浴場の開放や炊き出しなど、様々な支援を行ってくれました。その後は県内外の様々な企業や医療機関から、多くの人的、物的支援を頂き、落ち着きを取り戻すことが出来ました。本当に感謝申し上げます。

今回の災害を通して感じたことは、最も混乱し不安な状況下での的確な支援こそ大きな価値があり、時間の経過と共に、必要な支援内容や価値の大きさが変わってくると言うことです。つまり、相手の立場に立った的確なニーズの把握と、素早く柔軟な対応が、大きな価値をもたらすと思います。今回私どもは、支援を行う立場と共に、支援を受ける立場になりました。様々な支援や思いやりに、普段では感じないような感謝や、感動を経験したのではないでしょうか。当院に来院される患者さまやご家族の中には、少なからず災害時に味わったようなパニックや不安を持っている方がいらっしゃると思います。このような方々のニーズをいち早く的確に把握し、自分たちの出来るサービスに繋げることが、大きな価値を生むことを体感したと思います。

同じサービスでもタイミングによって価値は大きく変わります。今回の経験を活かし、患者さまやご家族に感動を与えられるような予想外価値を、職員一人一人が能動的に創造し、喜ばれる喜びを感じて下さることを期待いたします。

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